医師の働き方改革が進んでいます!

医師の働き方改革とは、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、医師の長時間労働の改善や健康確保を行う一連の取り組みのことを言います。一般企業の働き方改革については、2018年7月に「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が公布、2019年4月に施行となり、「時間外労働の上限規制」等が実施されました。しかし「医師の働き方改革」については、労働環境の見直し・改善に時間を要すると予測されたことから、5年間の猶予期間が与えられ、2024年4月に施行されることとなりました。

医師の働き方改革の推進に向けた取り組み「タスク・シフティング(業務移管)」について

医師の働き方改革において大きな課題となっているのが「長時間労働」です。医師は通常業務に加え、時間外の患者さん(ご家族)への説明、容態急変時の対応、時間内に対応しきれない長時間の手術、患者対応に伴う事務作業などさまざまな業務を抱えています。また医師の深刻な人手不足によって業務負担は日々増加しています。そこで医師に業務が集中している労働環境を改善するべく、業務の一部を専門性のある他職種へ「タスク・シフティング(業務移管)」し、医師の業務負担軽減・労働時間を短縮する取り組みが推進されています。また、さまざまな業務が他職種へ分配されることによって、患者さんへ安全かつタイムリーな医療提供が可能となります。

当院でも医師を支える専門職が各分野で活躍しています!!

県内にわずか5 人!医学と看護学を習得「診療看護師」

診療看護師(NP)とは

  • 手順書に基づいて行う特定行為(※)の実践と医師からの指示による医療行為の実践で医師の診療をサポート
  • 高度な専門知識を活かし、医師不在時でも迅速かつ安全な医療を提供することができる

心臓血管外科 田草川 明子

診療看護師(以下NP)とは、いわゆる医師と看護師の中間に位置する存在で、米国をはじめ欧州、豪州、中国、韓国などではクリニック(医院)の開業や処方、麻薬劇薬などの使用も許可されており、病院内外を問わない幅広い対応を可能としています。当院のNPは医師を含めた医療チーム(※)との協働と絶妙な連携を主軸とし、広く全人的な医療管理を行っています。
具体的には、担当患者の診察や検査の実施、データの評価、手術中の助手、薬剤の投与など、さまざまな医療行為を実施しています。また、医師と協働して治療のサポートや病気の予防、健康やライフスタイルの選択について患者さんへのアドバイスも行っています。
こうした医学や医療行為の習得を通して、医療行為や侵襲の高い技術の実践よりもむしろ、その思考過程がNPには大切であると実感しています。足りない知識を日々補填し、練習と研鑽を重ね、明日に繋げる。そうして個々のスキルをアップデートし続けるプロフェッショナリズムこそが、NPの信頼に繋がると考えています。
今後、当院での活動実績やアウトカムを蓄積し、日本におけるNPという存在が、さらに一歩先に踏み出すための一助となるよう、日々研鑽を積んでまいります。
※特定行為…看護師が手順書に基づいて行う診療の補助のこと。特定行為(21区分38行為)のすべて、あるいは一部分を実施することができる
※医療チーム…医師、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技師、理学作業、栄養士、医師事務作業補助者、地域連携担当など、院内にいるすべての医療従事者のこと

特定の診療行為を補助「特定行為看護師」

特定行為看護師とは

  • 保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度「特定行為研修」を修了した看護師
  • 手順書に基づいて行う特定行為の実践で医師の診療をサポート
  • 医師の判断(指示)を待たずにタイムリーな診療の補助を行うことができる

食支援室 池端 良太

患者さんの食の支援に関わる業務を院内で横断的に担当しています。入院患者さんの日常生活の援助を行う際、医師はその都度ベッドサイドに待機してタイムリーな指示を出せるわけではありません。特定行為看護師の強みは、患者さんと接する時間が一番長い看護師がその場で判断し、包括的指示のもと診療の補助を行えることにあります。私の業務に当てはめると、医師が人工呼吸器から離脱を指示するのをただ待つのでなく、特定行為看護師がその都度モードや設定を適正化していくことで早期に離脱し、経口摂取までの期間が短縮できることなどが期待されます。
また急性期では特定行為実践も大事ですが、臨床推論や病態生理学など、医師がどういう思考過程で疾患を考え、必要な治療や処置を実施しているのかを周りのスタッフへ代弁することも大きな役割であると考えています。まだまだ課題はありますが、多職種がそれぞれの専門性を発揮できるようにサポートしていきます!

事務作業をサポート「医師事務作業補助者」

医師事務作業補助者(MA)とは

  • 医療保障制度・医療関連法規・診療録の記載・個人情報保護法など業務に必要な研修を修了した事務職員
  • 外来・病棟で多くの患者さんを受け持つ医師の医療業務が円滑に進むよう、医師の指示のもと診断書などの文書作成や電子カルテの代行入力など事務的な作業をサポート

MA課 仲盛 さやか

医師の事務作業の負担を軽減し、医師が診療に専念できるようサポートする職種で、当院では「メディカルアシスタント(MA)」と呼んでいます。
医師の代わりに診断書などの文書作成補助、電子カルテの入力代行、診察・検査の予約などを行っており、医師はそれらの作業に割いていた時間を本来の業務である「診療」に充てることができます。それは医師の業務負担軽減につながることのみならず、診察時の待ち時間の短縮など患者さんの負担軽減にもつながっています。
業務は多岐にわたり覚えることも多く日々勉強の毎日ですが、事務職でありながら医療の最前線で働くことができるため大変やりがいがある仕事です。
まだまだ認知度が低くMAという職種についてあまりご存知でない方も多いと思いますので、これをきっかけに皆さんに知っていただければ嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願い致します。