もしかしてその症状は心房細動かも…

心房細動とは

心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気です。心房細動の状態が長く続くと、動悸や息切れが激しくなり、生活に支障が出るようになります。また、心房がけいれんすることにより心房内の血液が淀み、血栓(血液の固まり)ができやすくなり、脳梗塞(脳の血管を詰まらせる)を起こすことがあります。
80歳以上で心房細動を患っている方の50%以上が脳梗塞を発症すると言われています。また、脳梗塞(心原性脳梗塞)の約20%が心房細動が原因と言われており、他のタイプの脳梗塞に比べて重症になりやすく、一度の脳梗塞で死に至ることも少なくありません。

当院では傷が小さく、患者さんの身体的負担が少ない手術と注目されている、低侵襲心房細動手術「ウルフ-オオツカ法(胸腔鏡下肺静脈隔離術・左心耳閉鎖術)」を行っています。

ウルフ-オオツカ法(胸腔鏡下肺静脈隔離術・左心耳閉鎖術)

ウルフ-オオツカ法のメリット

小さな傷口で身体的負担が少ない

胸腔鏡を使用するため、左右の胸部に1.5cm程度の小さな傷を4ヶ所開けて手術を行います。開胸器で肋骨を広げないため、痛みをほとんど感じないのが特徴です。

抗凝固剤の中止、心原性脳梗塞の回避

術前に使用していた抗凝固薬は術後14日~1ヶ月間使用し、その後は中止が可能であると医師が判断した場合は服薬を終了します。抗血小板剤は使用しません。出血性合併症のリスクから解放されます。さらに、血栓ができやすい箇所を切除することにより心臓が原因とされる脳梗塞を回避することができます。

心房細動で悩む患者さんのために!

心房細動の患者さんは、高齢化に伴なってどんどん増加しており、日本で100万人以上とも言われています。ウルフ‐オオツカ法は、私が米国留学時代に師事した心臓外科医ランドール・ウルフ氏(現テキサス大学心臓外科教授)が2003年に開発した「ウルフ法」無くしては誕生しませんでした。私はウルフ法をさらに短時間で患者さんに優しい方法に改良したのです。ウルフ氏は私が外科医人生で最も影響を受けた師であり、今も互いに切磋琢磨しする戦友です。ウルフ氏と共にウルフ・オオツカ法のクオリティをさらに高め、できるだけ多くの患者さんを救うことが、自分に課せられた外科医としての最後の使命だ、と私は思っています。

大塚 俊哉 医師

ニューハート・ワタナベ国際病院 副院長
兼 ウルフーオオツカ低侵襲心房細動手術センター
センター長

実は私もこの手術を受けました

自分も長い間、心房細動を患っていましたが、特に症状もなかったため抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)の内服を続け経過観察していました。ところが1年程心房細動が続いた時の検診で心機能の低下、新規弁膜症(また違う心臓の病気)の出現がありました。その間にも抗凝固剤による出血で困った事もあり、この手術を大塚先生にお願いした経緯があります。5日間程度の入院で、現在は心房細動も治り、内服も全て中止となりました。この手術をしていなければ、おそらく数年で人工心肺を使用するような心臓の大手術、致命的な脳梗塞、消化管出血等になっていたと思います。ウルフ-オオツカ法は予防的な手術ではありますが、間違いなく「寿命が伸びる手術」であると実感しております。

楢山 耕平 医師

友愛医療センター
心臓血管外科 医長

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友愛医療センター心臓血管外科

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