「野球肘」防ぐため検診を実施

成長期にボールを投げすぎることによって生じる肘の障害「野球肘」の早期発見と予防を目的に、9月15日、昨年に続き2回目となる野球肘検診が友愛医療センターと中頭病院を会場に行われました。友愛医療センターでは南部地区の少年野球6チームに所属する小学4~6年生の約90人が参加し、整形外科医師による問診とエコー検査を受けた後、理学療法士や作業療法士、柔道整復師らによる身体の柔軟性や筋力、可動範囲の測定やケガ予防のためのストレッチを学びました。


今回は、新たに「フィードバックブース」を設け、子どもたちに測定結果を基に姿勢や身体の各部位の柔軟性の状態を説明し、必要なトレーニングなどをアドバイスしました。

参加したチームの監督や保護者は「ストレッチがとても参考になった。ケガを予防するためにも、普段から取り組んでいきたい」「ありがたい取り組み。長くスポーツを続けるには早めの対策や意識づけが重要ですね」と話していました。

検診の責任医師を務めた当院整形外科部長の上原大志医師は、今回の検診で6人に肘離断性骨軟骨炎(OCD)の疑いがあったほか、18人を二次検診に案内したことを踏まえ「OCDは無症状で経過し、進行すると手術になるケースがあるが、初期に見つけることができれば保存療法で完治することができる。検診で肘の状態をチェックし、早期発見につなげることが大切です」と、検診の重要性を呼び掛けました。

友愛医療センター整形外科部長 上原 大志医師(沖縄スポーツ健康を推進する会副会長)

沖縄県は野球人口比率が最も高い県として知られ、年代を問わずたくさんの方々が日常で野球を楽しんでいます。しかし県内でスポーツ障害を診療する中で、成長期の野球肘障害(成長期野球肘)の選手が後を絶たず、指導者も含め投球障害に対する教育や予防を普及させる必要性を感じています。

成長期野球肘の中でも上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)は関節軟骨に損傷を生じる疾患で、早期に適切な治療が行われないと生涯にわたり肘に障害を残すことがあります。

発症初期(小学生)では症状が乏しいため、肘痛を有して病院を受診する時期には病態が進行し手術を要することが多いのが特徴です。発症初期に治療が開始できないため、県内では病態が進行した中学生の時期に手術症例が数多く存在しています。

昨年に続き、今回も医師による診察(超音波含む)のみならず、理学療法士による身体機能測定や障害予防としてストレッチ法の指導などが行われました。検診の結果、初期のOCD患者を拾い上げることができ、検診の有用性を感じています。

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